歯科医院運営

人が集まる医院の院長が描く世界観

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      「信用貯金とはこういうことだなぁ・・・」
      と実感することがありました。



      先日訪問した医院でのできごとです。

      いつものようにコンコンと院長室のドアをノックし入室した瞬間、
      クライアント院長の表情から言葉が溢れ出していました。




      この院長はほんとアイデアの泉のようなお方でして、
      私が教えられることもしばしば。
      たまにどっちがクライアントなのか分からないことも珍しくありません。



      日々、ひらめきの連続で、思いついたからにはやらずにはいられない。
      それを実行したら、きっとこんな良いことが起こるはず。

      さてさて、どうやって実現する?

      という思いが言葉にしていないのに言葉が表情から出ているのです。



      さて、今回のひらめきとは?

      この図はコロナウイルスに感染している人から
      健康な人への感染率を表したものです。




      "お互いがマスクをしていない”
      から
      "お互いがマスクをしている”


      という4つのパターンが紹介されています。

      これを見ると、お互いにマスクをしていることが望ましいことが分かります。
      (マスクの実際の効果には色々考えがありますが、今回はそこが本質ではありませんのでここでは触れません)



      今は町を歩くと、マスクをしていない人の方が珍しい状況です。

      マスクを着ける。

      というのはかなり習慣として根付いた感がありますよね。



      しかし、ふと油断するとこの図の一番上のお互いに
      マスクをしていない状態 になる場面があります。
      しかもそれは私たちが生きていく上で欠かせない行動をしているときです。



      そうです、食事です。



      普段はマスクを着けていても、食事の時は外します。

      同時に休憩を取る職場であれば、
      スタッフルームは一気に誰もマスクをしていない状況になります。


      しかも何かを食べている時というのは唾液の分泌も活発になりますので、
      普段よりも飛沫が飛びやすい状態。



      ソーシャルディスタンスを保てばいいのでは?

      会話などせず黙って食べればいいのでは?

      お互い向き合わないようにすればいいのでは?



      という声が聞こえてきそうですね。

      もちろんそれはその通りなのですが、
      スタッフルームのスペースの問題であったり、
      仕事上の伝達や午後からの診療のことといった業務上の会話であったり、
      ふと反射的に言葉を発してしまうことなど、
      全くの無言というのも実際には難しいこともあります。




      ちなみにコロナウイルスの影響は1年続くとも5年続くとも言われています。

      感染予防対策は行いつつ、同時にそれによって失われた
      コミュニケーションへの対策も
      重要なコロナ対策なのです。



      さてさて・・・どうするか・・・。



      この医院はスタッフ数が約100名の大所帯。



      「コミュニケーションを図りつつ、食事の際の感染予防対策をどうするか?」



      その問いへの答えが、

      エチケットマスクを食事の際は着ける。

      というものでした。



      つまり、食事のときもマスクを着ける、ということです。

      食べるとき、飲むときはマスクをずらし、口に含むとマスクを着ける。

      そうすることで会話も楽しむことができる。
      (ちなみにこの時のルールは「マスクは新しいもの」を使うことです。
      診療時に使ったマスクは汚染されている可能性があります)






      やることとしてはとってもシンプルなのですが、
      意外にこれは出来ていない、やっていない人が多い。


      その理由の1つは、マスクが汚れてしまうから、ではないでしょうか。



      では、ここは発想の転換で、食事の際のお手拭きのように、
      使い捨てとしてマスクを捉える。


      マスクの捉え方を変えることで、
      汚れてしまうから・・・は気にならなくなるかもしれません。




      一時期に比べ、マスクも市場に出回ってきており、
      コロナ前に比べればまだ高値ではありますが、
      手に入る環境でもあります。

      環境問題はどうだ〜とか、そんなに誰もがマスクを買える訳ではない、
      とか色々言う人もいるでしょう。




      この院長も、これがベストではない、
      というのはもちろん分かっておられます。


      それでも、このコロナ禍の環境の中で、
      感染予防対策とコミュニケーションを両立させるには?


      という問いに向き合い、ベストではないかもしれないけれど、
      ベターな答えを出す。


      そしてそれを実行する。



      この姿勢が経営者でもあるリーダーの役割であり責任。

      「コロナが怖いから食事中は喋らないように」

      これは対策のようで対策ではないのです。



      このエチケットマスク案をお聞きした時、

      良い意味で「この先生が考えそうなことだなぁ・・・」と感じました。

      発想のゴールが「我がため」ではなく、

      スタッフのため→患者さんのため→地域のため→国のため→世界のため

      という世界観なのです。

      そしてその世界観に合わせて医院は確実に規模も
      考え方も大きくなっています。



      今回はエチケットマスクについて紹介していますが、
      院長から出てくるアイデアはいつもその世界観。


      たまに私が、「それって先生や医院のメリットって何です?」
      と聞いてしまうことも・・・。




      物が溢れている現代。

      物ではなく人を売れとも言われますが、これはまさにその通りで、
      買いたい人というのは信用できる人です。

      信用できる人とは自分の利益の前に他人の利益を先に考えられる人、
      ではと個人的には考えています。




      そして、その姿勢というのは日常の行動や言葉の中に、
      それこそ溢れ出てしまうものですので、
      他人の利益を考えているというフリをしても簡単に見破られてしまいます。



      この院長の場合は、

      「こういうセット(お手拭きとマスクが入った袋)を
      飲食店が取り入れれば
      きっとお客さんも安心すると思うんだよね。
      知ってるお店に提案してみようかなぁ・・・」


      と出てくる言葉が他人主語なことが多い。





      このエチケットマスクだけを見ると、
      医院経営にダイレクトに役立つとはいかないかもしれませんが、
      こういう発想を持ったリーダーだからこそ、
      コロナ禍であっても多くの患者さんが訪れる医院になっていることは
      間違いありません。




      エチケットマスク、広まっていくといいなぁ・・・。
      という思いでのご紹介でした。


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