患者さんへの「配慮やサービス」を今回は考えてみます。
ここでの配慮やサービスとは、大きな行動ではなく、さりげないサービスや小さな気配りのことです。
忙しさの中でも出来ることはたくさんあり、患者さんに「自分を大切にしてもらえている」と感じてもらうことも出来ます。
例えば待合室。混んでいる時間帯は置いてある雑誌も乱れがちですが、その整理をする際に「お時間大丈夫ですか?」とかウォーターサーバを設置していれば「お水どうぞ」とお声がけが出来ます。
テレビを流していればチャンネルの好みをたずねることも出来ますし、直射日光が差し込まなければカーテンをあけて外の景色が見えるようにしてあげることも出来ます。
雑誌の整理やお水の提供、テレビのチャンネルやカーテンの開け閉め、これらはただの作業ではありません。
全て患者さんと心を通わせるための大切な接点です。
患者さんがリラックスして待ち時間を過ごせるように、また、医院での滞在がより心地よいものになるように、これらの細やかな動きができるといいですね。
ある大手ホテルでは、トイレの案内表示を意図的に省いています。
利用者からトイレの場所を尋ねられることが当然増えますが「トイレまでご案内する」というサービスを生み出すことになり、利用者とのコミュニケーションの機会を作り出す仕組みになっています。
診療室の中でも行える配慮やサービスもあります。
例えば室温です。私が以前勤めていた百貨店では冬場は「お客様がコートを来たままで快適に過ごせる室温設定にする事」というルールがありました。温度の感じ方は人それぞれですので、全ての人に快適な室温を提供することは出来ませんが、出来ないからこそ寒い人にはひざ掛けを提供したり、送風機を持ってきてあげたりというサービスを生み出すことが出来ます。患者さんの動作や表情に意識を向けると「暑そう」「寒そう」を予測することはそう難しくありません。
院内で流しているBGMも「患者さんがリラックスできる音楽とは?」を院内ミーティングで話し合ったり、患者さんアンケートで尋ねてみるのもありです。その他、照明の色温度や角度、うがいのコップのデザイン、お顔にかけるタオルの柔らかさやアロマの香りをつけるなど、出来ることは沢山ありそうですね。
これら一つひとつに大きな力はありませんし、取り入れたとしても気づかない患者さんの方が多いでしょう。
ただ、小さな行動や配慮を積み重ねている場というのは、言葉に表すことの出来ない非言語の「心地よさ」が確実にあります。
「何が良いのか言葉には出来ないけれど、この医院が好き」と感じていただくことが、長期的な関係となる歯科医院では特に大切です。