私の仕事は目に見える商品を扱っている訳ではありませんので、医院によってその内容はほんと様々ですが、
それでも比較的多くの医院で行っていること、
それが「コミュニケーション」や「カウンセリング」のレクチャーです。
求められる結果によって、レクチャーの組み立てはカスタマイズしていきますが、
どんなにカスタマイズしても最初に取り上げるのが、“ラポール(信頼)を築く聴き方”です。
相手の身振りや動作、表情、姿勢などを合わせ、無意識レベルに親近感を感じてもらう「ミラーリング」
相手の話し方のペース、声の大きさ、言葉の使い方などを合わせる「マッチング」
相手の話した事実や感情、話を要約して返す「バックトラッキング」
この3つのスキルを使って相手の話を聴くことで、相手は自分の話をよく聴いてもらえている、と感じてもらうことができます。
話をきちんと聴いてもらえているかどうか?は相手が判断することですので、いくらこちらが
“ちゃんと聴いてますよ!”
と思っていても、相手を見ずに全然関係ない動作をしていたり、ゆっくり話す相手に対して、
その何倍ものスピードで畳みかけるような受け答えをしたり、こちらがどう理解しているかを言葉にしなければ、相手は
“この人、全然話聴いてくれてないわ・・・”
という判断になってしまいます。
だからこそ
“あなたの話をちゃんと聴いてます”
を思うだけでなく、態度で示さなければならないのです。
そんな解説を毎回させていただいていますが、同じく毎回のように出てくる質問や疑問、それが
“そんなスキル(テクニック)を使うのはわざとらしいので抵抗がある”というものです。
この感覚、分かります。
私もこのスキルを習った当初は同じように感じていました。
人とのコミュニケーションって、そんなテクニックを駆使してやるような軽いものではないでしょ?っていう感じですね。
そうは感じながらも、長年に渡って多くの国で広まっているスキルでもあります。
そこにはきっと自分ではまだ分かっていない意味があるのではと思い、日頃のコミュニケーションに取り入れていきました。
その上で分かったこと。それは、この3つのスキルを使うためには
“相手のことをむちゃくちゃ観察しなければ使うことができない”ということです。
ミラーリングをするには相手の動作に意識を向けなければ出来ませんし、
マッチング、バックトラッキングするには相手の話をきちんと聴いていなければ出来ません。
以前の私がそうであったように、スキルだけに着目すると、軽いとか、
テクニックで相手を操ろうとしていると思ってしまいがちですが、本質はそこではありません。
『大切な人と望む人間関係を築くこと』
それこそが本質であり、私たちがコミュニケーションスキルを学ぶ理由なのです。