患者さんへのカウンセリングや説明。同じ話をしても人によって伝わる、伝わらないがありますね。
例えば、矯正治療に関する提案を行う際、同じ内容、同じ言葉を使っても、すんなりと理解していただける患者さんと、そうでない患者さんが存在します。その理由の1つは「言葉の意図を理解する構造(パターン)」が人それぞれ異なるからです。
今回、ご紹介する「LABプロファイル」を用いてこの構造を理解し、それに合わせたアプローチを行うことで、コミュニケーションの質を高めることができます。
「LABプロファイル(Language and Behavior Profile)」とは、言語と行動の関連性に焦点を当てた心理学的な手法です(詳しくはネット検索してみてください)。ここでは人が何かを選ぶ際に関連する「オプション型」と「プロセス型」に焦点を当てて「矯正治療の説明」を例として解説してみます。
●オプション型の特徴
オプション型の人は、多様性や新しい選択肢を求める傾向があります。変化を歓迎し、新しい情報や環境を求める傾向にあります。例えば、買い物に行くと選択肢が多ければ多いほど楽しいと感じ、旅行先では何をするかは柔軟に決めることを好みます。
●プロセス型の特徴
プロセス型の人は、順序立てられた一貫性のあるプロセスや方法を好む傾向があります。例えば、旅行の計画は事前にしっかり立て、その通りに進めることを好み、仕事では決められた手順で進めることを何よりも大切にします。
次に、この特徴をどのように矯正治療の提案に活かせばよいかを見ていきましょう。
まず「オプション型」の患者さんに対しては、矯正治療の方法や使用する素材、予算に応じたプランなど、選択肢を豊富に提示することがポイントです。治療計画は途中で変更可能であることを提示することもオプション型の人にとっては魅力的な提案です。
一方「プロセス型」の患者さんには、治療の全体像から各ステップまで詳細に説明することで安心感を提供します。そして予期せぬ問題に備えた対策や、何らかのトラブルが発生した場合のサポート体制を説明することで、納得いただける可能性を高めていきます。
LABプロファイルを用いて、患者さんのパターンを分析してみることで、その人がどのように情報を処理し、どのように意思決定を行うかを予測することができます。
患者さんのパターンに合わせて提案を行うことで、患者さんの関心度が上がります。関心度が上がれば理解度が上がります。理解度が上がれば治療にも積極的に協力してくださるようになり、キャンセルや中断、クレーム防止にもつながっていくでしょう。
英語を話す人にはこちらも英語で応えるようにすれば意思疎通がしやすいように、オプション型の人にはオプション型の言語を用い、プロセス型の人にはプロセス型の言語を使う。LABプロファイルを訓練することでそのスキルを手に入れることが出来ます。