専門職として仕事を進めていく上で、「学ぶ」ことは欠かせない習慣です。
学びには大きく分けて「5段階のステップ」があります。
ここでは“車の運転”を例に解説してみましょう。
1段階目は「無意識的無能(知らないしできない)」です。
免許取得前のように、運転の方法を全く知らない状態です。当然、運転をすることはできません。
2段階目は「意識的無能(知っていてもできない)」です。
例え運転手順のマニュアルを丸暗記したとしても、知識として知っているだけでは実際に運転ができる訳ではありません。
3段階目は「意識的有能(考えるとできる)」です。
運転免許証を取得したばかりの頃をイメージしてみてください。
ブレーキを踏んでエンジンをかける、ギアをドライブに入れてサイドブレーキを解除する、
そしてゆっくりとアクセルを踏む、
という一連の流れを免許証を取得したばかりの頃は一つひとつ考えながら運転を行っていたと思います。
運転はまだぎこちなく、突発的なことが起こったときは対処する余裕がありません。
4段階目は「無意識的有能(考えなくてもできる)」です。
車を運転するという経験を積むことにより、最初は考えなければできなかったことが、
特に考えなくても体が自然に動き、操作できるようになってきます。
気持ちにも余裕が生まれ、自然な運転ができるようになりますが、
反面、一番事故(ミス)を起こしやすい段階でもあります。
そして最後のステップである5段階目は、「無意識的有能に意識的有能(教えることができる)」です。
例え自分自身は無意識レベルで運転ができるとしても、それを人に教えるという行為はもう一つ上のレベルになります。
「名選手、名監督にあらず」と言われますが、“自分ができる”ということと“教えることができる”というのは、
同じではなく、別の技術が必要であるということです。
多くの人は、2段階目~3段階目でつまずくと言われており、
この段階を超えることができるかどうか?が習得への分かれ道になります。
意外にもこの段階を超えることができるのは、大人よりも子供のほうが多いようです。
大人は“一度できないと「できない」と決めてしまう”人が多く、
例えば、カウンセリングのロールプレイングを行った際、一度うまくできなかっただけで、
「自分にはできない」と簡単にあきらめてしまう人は少なくありません。
一方子供は「できるようになりたい」と思ったことについては、何度失敗をしても、
それができるようになるまでチャレンジをし続ける子が多いという検証結果が出ています。
そう言われてみると、私も子供の頃にやっていたスケートボードは、
何度転んでも乗れるようになるまでやり続けていたな・・・と思い出します。
年齢を重ねていくと「もう歳だから」と学ぶことをあきらめてしまいがちですが、
年齢を言い訳に何もしない、変えないことこそが、一番老けていく原因なのかもしれません。
いつまでもチャレンジャーでいたいものですね。