学生と社会人との違い。挙げていけばきりがありませんが、大きな違いの1つが“年齢(世代)の違い”です。学生の頃は基本同じ年齢の人たちと過ごします。同じものを見て、同じものに触れ、教わることも同じ。その結果、ものごとの良い悪いという価値観も自然と一致することになります。
一方で社会人、とりわけ人生の先輩たちが「私たちが若い頃は・・・」と口癖のように発する言葉があります。これは“今と昔の価値観の違い”の違和感や嘆きを表しています。ですが、世代が違えば当然常識も違うもの。そもそもどちらが正しいか、間違いか、の判断は、終わりのないテーマなのかもしれませんね。
では、価値観の違うもの同士が共に理解しあい、良い仕事をしていくためにはどうすれば良いのでしょうか?その1つが“信条(ルール)を決める”こと、つまり「医院としての正しさの定義を決める」ことです。
皆さんもよくご存知の「Amazon」のホームページを覗くと「Our Leadership Principles」という14項目からなる信条が掲載されています。グローバル企業であるAmazon、様々な人種の人々が働いており、人種が違えば価値観も当然違いますが、社員一人ひとりが、日々の仕事の中で、常にこの「Our Leadership Principles」に従って行動するように決められています。その中のいくつかをご紹介しましょう。
注:Amazonでは、従業員全員がリーダーという定義です。文中のリーダーは「従業員」と置き換えて読んでください。
Customer Obsession
リーダーはお客様を起点に考え行動します。お客様から信頼を獲得し、維持していくために全力を尽くします。
お客様を中心に。言い換えると「患者さんを中心に」となります。「そんなの当たり前でしょ」という人も多いかもしれませんが、私たちが何かを決めるとき、ふと気づくと「医院(従業員)が中心に」となっていることも意外に多くはないでしょうか。院長目線、従業員目線も大切な要素ですが、まずは“患者さん”を起点に考える。そうすることで独り(医院)よがりな判断や決断を防ぐことができそうですね。
Earn Trust
リーダーは注意深く耳を傾け、率直に話し、相手に対し敬意をもって接します。たとえ気まずい思いをすることがあっても間違いは素直に認め、自分やチームの間違いを正当化しません。
恥ずかしながら私自身も自分の正当化に走っている時があります。そんな時は相手の言葉が耳に入ってこないものです。こうして信条として掲げることで「その発言、考え方は信条に反していないだろうか」と気づかせることもできます。今の自分を冷静に俯瞰してみる鏡にもなるのが“信条”の意義です。
クライアント医院の多くに、この信条に類するものが存在しますが、貼っているだけの絵に描いた餅状態となっていないでしょうか。共に理解しあい、良い仕事をしていくために内容のアップデートも含め、改めてこの信条に着目してみることを提案させていただきます。