今年も早いもので残りわずかとなりました。
春に緊張と不安の表情を浮かべながら各医院に入ってこられた新人さんも、見違えるほどの成長を遂げている人も少なくありません。
人の成長は見ていてほんと刺激になりますね。
ということで、今回はこの「成長」をテーマにお届けします。
仕事における「成長」というのは一人で出来るものではなく、少なくとも“育てる人(院長や先輩)”と“教わる人(新人)”の2者が存在します。
特にキーになるなと感じているのは“育てる人”です。冒頭の見違えるほどの成長を遂げている人の影には、結構な確率で優秀な“育てる人”の存在があります。
育て方と一言で言っても、その手段は様々で、教わる側の理解力や性格もあれば、教育時間をどれだけ確保できるかという環境因子によっても違ってきます。
ただ、優秀な育てる人に共通していることもいくつかあります。その一つが「部下や後輩の成長を心から望んでいるか」です。
「育てているんだから、望んでいるに決まっているでしょ!」
というツッコミが入りそうですが、表面的には望んでいるようで、潜在的(本音)には望んでいない人というのは意外に多いのです。
部下や後輩が未熟な内は何をやっても自分の方が優れていますので、尊敬もされますし、威厳も保てます。
つまり「私、すごい」という“自己重要感”を満たすことが出来ます。
後輩が自分のレベル以下の段階では、素直に成長を喜んであげることが出来ますが、いざ、自分と並ぶ、あるいは超えそうな段階に差し掛かったとき「このままでは自分の威厳が保てなくなる」「この子の方が院長から高い評価を得そうだ」といつしか、後輩の成長よりも自分の立場を守ることに主語が変化していきます。
そういう精神状態となった時、起こす行動は“成長を止める(認めない)教え方”です。
掃除をしたら「ここが汚れている、ちゃんと見たの?」、症例発表をしたら「口腔内写真の規格性が全然ダメ、ちゃんと練習してる?」、報連相をちゃんとしろと言っておきながら「今、忙しいの見たら分かるでしょ?ほんとタイミングが悪いね」と注意する。
後輩の行動を認めるよりも、否定(ダメ出し)の比率が多くなっていきます。
これがやっかいなのは、言っていること自体は間違っていないのと、潜在意識からの行動なので自覚が難しいことです。
意外なのは社長や院長と言われるトップに位置する人でもこのタイプの人は少なくありません。そして部下や周りはそれを簡単に見抜いています。
ここで必要なことは「後輩をライバル視するリーダーになっていないか?」「自分の夢と同じくらい他人の夢を認めているか?」と常に自分を俯瞰してみる習慣を持つことです。
そして医院としては「自分が結果を出す」から「人を育てる結果を出す」というように、他者の成長がその人の評価になる仕組みが必要です。