たまに無性に食べたくなるものってありませんか?
そう思い立つと、食べずにはいられない。
私にはそんなお気に入りがいくつもありますが、その中の一つが “長崎ちゃんぽん” です。
先日も午前中から
「今日は長崎ちゃんぽんを食べるぞ!」
と固く決心していた私は、午前の仕事をテキパキと終わらせ、
徒歩3分の場所にある“長崎ちゃんぽん”へと意気揚々として向かいました。
ちょうどお昼時であり、既に何名かの行列が出来ています。
ひとり、またひとりとオーダーを済ませ、私の順番まであと数名!という所で事件は起こりました。
年の頃は60~70代くらいの男性(以下、おじちゃん)が、堂々と私の前に割り込んできたのです。
一瞬イラッとしましたが・・・“器の大きな男になる”を人生の目標にしている私です。
「この人もきっと長崎ちゃんぽんの大ファンなんだ。
きっと早く食べたくて周りが見えていないんだな。
人をそうさせてしまう長崎ちゃんぽんってやっぱり凄いな!」
と捉え、微笑みながら順番をゆずることにしました。
そんな私の優しさなどには全く気付く素振りもないおじちゃんは、店員の方に向かって、
「ちゃんぽん!」
とやや強い口調で注文。
店員さんが「今は代金は変わらず、麺を大盛りにすることができますが・・・」
とサービスの案内をしましたが、その言葉をさえぎるように「いらん!」と一蹴。
おじちゃんの迫力にすっかり押されてしまった店員さんは
「650円です」と早くこのやり取りを終えたいかのように、代金を伝えました。
おじちゃんは無言で財布から小銭を出しました。
そして、そのお金をお盆に “投げて” 入れました。
いかがでしょうか?なんて常識のない人なんだ・・・
と感じられた方も多いのではないでしょうか。
このおじちゃん。実は身なりは割ときちんとされた格好をされていました。
年齢から見ても、どこかの企業で部下を抱える立場であるようにも見えます。
これはあくまでも私の勝手な想像ですが、会社では、強いリーダーシップを取り、
指示も的確で数字にも強い。まさに理想的なリーダーで、
このおじちゃんのようになりたい!と思っている部下も多くいるかもしれません。
そんなふうに憧れている部下が、もし、この長崎ちゃんぽんでのやり取りを見ていたとしたら、
その部下はどう思うでしょうか?
私ならば、心底がっかりしてしまい、その後、それまでと同じ指示や指導を受けても、
心の中で「おまえが言うな!」と感じるかもしれません。
人に影響力を持つ人というのは、行動や言動、所作に裏表がありません。
きっと、長崎ちゃんぽんを食べる時ですら、周りから尊敬される食べ方をするんだろうな・・・
と感じた私は、長崎ちゃんぽんと餃子をビシッ!と背筋を伸ばした美しい姿勢でいただいたのでした。