私は子どもの頃から勉強もせず、ほんと世間知らずのまま育っていった人間で、好きか嫌いか、やりたいかやりたくないか、という直感で生きてきました。
今も(?)その余韻は残っておりますが、それでも何とかここまで仕事をさせていただき、生きることが出来ているのは、数々の恩師の存在があったからです。
その中で今でも思い出す一人は、高校生の頃に出会ったバイト先のオーナーです。
当時、コンビニエンスストアでバイトをしていた私は、一言で言えば「問題バイト」の代表のような勤務態度で、遅刻は当然、私語はガンガン、お客様が店に入ってきても、
「いらっしゃいませ!」
ではなく、
「しゃあませ〜」(いらっしゃいませの簡易版)
「ありがとうございました!」
は、
「あいした〜」(ありがとうございますの時短版)
という最悪な態度で、今思い出しても恥ずかしいばかりです。
バイトなんだからどうせ長くは働かないし、目的はあくまでもバイト代であった事から、どこか仕事というものを安易に捉えていたんですね。
そのコンビニは元々は酒屋さんだったこともあり、オーナー自らよくお酒の配達に行かれていました。
アルバイトの中から、その手伝いとして毎回1名をオーナーが指名して連れていくのですが、選ばれる人は毎回何名かで決まっていて、私は1回も選ばれたことがありませんでした。
配達に行きたいとは正直思っていませんでしたが、選ばれないことはプライドというか自尊心というか、とにかく気に入らなかったのです。
日頃の自分の勤務態度は思いっきり棚に上げておいて、ある日、私はオーナーに食ってかかります。
「なんで俺を配達に連れていかないんですか?おかしいでしょ?」(俺と言っちゃっているとこがもうアウト)
と意気がりますが、オーナーは微笑むだけで何も言いません。
無視されたことに更にヒートアップした私は、更に言葉を重ねます。
「えこひいきしてません?オーナーって」
この一言でオーナー、ブチギレます。
胸ぐらを捕まれ、今で言う壁ドン。
「お前、なに言いようるんじゃ。お前の勤務態度をわしが知らんとでも思うとるんか。えこひいき?当たり前じゃ。そりゃ仕事を一生懸命やる人間はかわいいわ。お前はひいきされる人間なんか?」
と広島が生んだ世界チャンピオン、竹原慎二ばりの広島弁で詰められます。
ええ、むっちゃ怖いです。腰が抜けました。
この時のオーナーの表情、声、息遣いまで今でもはっきりと覚えています。
「ひいきされる人間なのか?」
これ、シンプルですが、人付き合いにおいてとても大切な要素で、高校時代にガツンとこの事を教えてくださったオーナーには感謝しかありません。
かれこれ、この出来事から30年。
年齢を重ねるにつれ、仕事はもちろん、生活の中で接する人の世代も年上よりも年下が増えてきました。当たり前ですね。
「ひいきされる人間なのか?」
から、
「ひいきされたいと思われる人間なのか?」
に変わってきたね・・・と各院長とも話題になります。
話の中のコンビニですが、今も健在のお店です。
その店の前を通るだけで、背筋がピンと伸びます。
アンカリング効果です。