「質問はありませんか?」
講習会やセミナー、院内のミーティングなどで定番として出てくる言葉の1つです。
私の経験上、多くの質問が出てくることは稀でほとんどの場合は
“し〜ん・・・”とした時間が流れます。
なぜ質問が出ないのか? その理由は大きく分けて3つありそうです。
1.必要なことは理解できたので質問はない
2.質問はしたいが恥ずかしいので質問しない
3.内容が理解できておらず、分からないことが分からないから質問できない
それぞれ理由はありますが、せっかくの学びや打ち合わせの時間が無駄になってしまうのは避けたいところです。
上記2と3の「恥ずかしい」や「分からないことが分からない」というのも理解できます。
「こんな基礎的なことを質問してもいいんだろうか?」
「みんなに注目されるのが恥ずかしいな」など、
特に勤務年数が短い人や自信がない人ほど“質問をする”というのは高いハードルになっているようです。
さて、ここでポイントになるのは「1」。つまり“自分は理解できている人”です。
あくまでも一般論ですが、この人はキャリアも長く、医院の中ではリーダーやチーフ、診療における中心的な人物である事が多いです。
自分は理解しているので当然質問はありません。であれば、この立場の人は自分の理解と同時に“医院全体の理解”も考える必要があります。
上記2と3の人が質問できる場作りをしていくことも大切な役割の1つなのです。
その場作りの方法として一番簡単な方法は、1の立場の人が意図的に質問をすることです。
その際のポイントは「2や3の人が聞きたい質問」つまり「ここが分からないのではないだろうか」という参加者視点の質問。
場の空気を変えたり、内容の理解を促すことができます。
パソコンセミナーで例えてみます。
セミナーを受けたあなた自身は、パソコンは日頃から使い慣れていることもあり一通り理解できていますが、一緒に受講したAさんは眉間にシワを寄せて難しそうな表情をしています。
講師の「ここでドラッグ&ドロップして」や「クラウドに保存することで」といった内容はほぼ間違いなく理解できていないようです。
そこであなたが代わりに「ドラッグとドロップについて詳しく教えてもらえますか?」「クラウドってそもそも何なのかから教えてください」といった質問をしてさりげないサポートをするのです。
あなたが代わりに質問したことは他のスタッフの質問のハードルを随分と下げることになります。
「あ、そんな初歩的なことから聞いていいんだ」
「2番目、3番目なら聞きやすい」と“質問しやすい場”が出来上がってきます。
意外に多いのが、自分は分かっているから、という自分視点の人です。
キャリアが浅い内はそれでも良いかもしれませんが、ある程度のキャリアを積んできた人であれば、医院全体という観点でも物事を考えなければなりません。
自分は分かっているけど、周りの人のために質問をする。
クライアント先にも何名かそんな人がいますが、医院にとっても私どもにとっても欠かすことのできない重要なキーマンです。