診療プロセスの中での「カンファレンス」では、
問診や初診カウンセリングで患者さんから聴かせていただいた
“希望・心配事”と検査で把握した口腔内情報をもとに、
患者さんに適した「治療内容」を決める時間です。
この「カンファレンス」の形は各医院で様々ですが、
今回はその中の一つをご紹介します。
手順①:検査結果から「問題点」を全て挙げてみる
レントゲン、口腔内写真、歯周病検査など、行った検査結果を基に、大きなことから小さなことまで、
とにかく問題点を全て挙げていきます。
むし歯、歯周病の有無という基本事項はもちろんのこと、親知らずのリスク、歯列不正、
破折の危険性がある歯、咬耗が見られる歯など、
ここでは出来るだけ多くの問題点をホワイトボードなどに書き出していきます。
手順②:理想と考える治療内容を考える
①で挙げた問題点を踏まえ、医院で考えうる理想の治療内容を考えます。
ここでのポイントは“患者さんの希望は一切考慮しない”ということです。
矯正が必要であれば行う、再根治が必要であれば行う、
ブリッジや入れ歯よりもインプラントの方が適していると思えば、
インプラントを選択するという流れです。
手順③:患者さんの希望・心配事を考慮した治療計画を考える
②で立案した治療計画が、医院が提案したい理想の治療内容ではありますが、
それを受け入れていただけるかどうかは、
患者さんの“希望・心配事が考慮された内容かどうか?”によって変わってきます。
時間と費用がどれだけかかっても最高の治療を受けたい人もいれば、
主訴の解消だけにしか興味がなく、矯正やインプラントなどは選択肢にすらならない人もいるでしょう。
また、仕事の関係で来院できる日が限られる人や、過去の経験から歯科恐怖症となっていたり、
良い治療は受けたいけれど経済的な理由でそれを選択できない人もいます。
これらは実際の治療法以外の背景ですが、希望を叶え、心配事を解消するためには欠かすことの出来ない考慮すべき情報です。
このプロセスではこういった患者さん固有の情報を基に“患者さんに合わせた治療内容とは?”を考えていきます。
以上3つの手順から成り立った「カンファレンス」ですが、この手順を踏むことで以下の成果が期待できます。
●手順①から資料、口腔内を見る目が養われる。
●手順②から医院が提供できる診療の幅(深さ)を知ることができる。
●手順③から患者さんの希望・心配事をどう治療計画に反映させればよいか?が分かり、
患者さんに、何を伝え、何を聞き、何が問題になりそうか?を予測できる。
カンファレンスは行われていても、医院によっては“患者さんの主訴に限定した”形になっているケースをよく目にします。
主訴ももちろん大切ですが、①~③の手順を踏まえて導き出された治療計画は、患者さんの希望・心配事に寄り添いつつ、より健康に近づけるものになっているはずです。
手間はかかりますが、その投資に見合うリターンを得ることが出来ます。