「時間が経つのが恐怖を感じるほど早い・・・」
この時期になると、例外なく頭に浮かぶ言葉です。
そして思考は言葉となる。
行く先 行く先で
「今年も12月ですね~」
「ほんと、はっやいですよね!」
という言葉となり、
「もうかりまっか?」
「ぼちぼちでんな」
クラスにこの時期の合言葉となる。
そして、もう1つ師走となると脚光を浴びることに「1年の振り返り」と「来年の目標設定」があります。
振り返りをするにしても、目標を設定にするにしても、その判断や設定の土台となる“基準や指標”があればとっても便利。
それがあることで、何かに偏ることなく、そして客観的な視点も持ちながら考えをまとめることができるからです。
今回は私がかれこれ20年近くその”基準”として使っている
「K・A・S・H」(カッシュ)
というフレームワークをご紹介します。
K・A・S・Hとは
Knowledge(知識)
Attitude(心の姿勢)
Skill(技術)
Habit(習慣)
のそれぞれの頭文字を取ったものです。
関係性を文章で表すと以下のようになります。
もう少し詳しく見ていきますね。
Knowledge(知識)
「知識がなければ患者さんに診療の提案を行うことが出来ません」
車の運転で言えば、まずはアクセルやブレーキ、各ギアの意味など、その土台となる知識がなければ何もできないということ。
Skill(技術)
「技術が無ければK(知識)があっても、それを実行することができません。」
知識があれば車が運転できるかというとそうはいかない。まずは教習所内で教官に指導を受けながら、体で技術を覚えていく。
イチローの打撃法を解説した本を丸暗記しても打てるようにならない。
Habit(習慣)
「習慣が無ければK(知識)S(技術)を、向上させていくことができません。」
知識と技術の向上のほとんどは一朝一夕とはいかない。日々の努力や計画を習慣化することが成功への鍵となる。
Attitude(心の姿勢)
「心の状態が良く無ければK(知識)S(技術)H(習慣)があっても、長期的に仕事を継続していくことが出来ません。」
K(知識)S(技術)H(習慣)の全てを支えているのが、このAttitude(心の姿勢)。
モチベーションの源泉、使命感など、「なんのためにやるのか?やっているのか?」の答えがこれにあたる。
クライアント医院では、このK・A・S・Hを使った目標シートを使って年初に目標発表を行い、年末に振り返りを行っている医院もあります。
K・A・S・Hの観点を用いることで、バランスの取れた設定や振り返りができます。
そしてこのK・A・S・Hは振り返りや目標設定の他にも活用できる考え方です。
例えば、プラークコントロールが改善しない患者さんがいたとします。
それを以下のようにK・A・S・Hでその原因、理由を考えてみる。
正しいブラッシングの方法を知らなかったり、自分にあったケアグッズを知らないことが原因であるとすると、それは K(知識) に課題があると考えられます。
どう手を動かして良いかが分からない、フロスが上手く使えない、これはS(技術)が課題です。
K(知識)もS(技術)も問題ないが、仕事の環境で歯みがきの時間が取れないや、夜お酒を飲みながら、いつの間にか眠ってしまっている、ということであれば、それはH(習慣)に問題があります。
そもそも、歯を大切にする気持ちがない(価値が分からない)場合は、A(心の姿勢)に問題があるため、なぜ、そのような考えに至っているのか?を聞いていく必要があるかもしれません。
このように、プラークコントロールが改善しない患者さんへのアプローチを考えるにしても、K・A・S・Hを使うと対策を立てやすくなります。
あくまでも一般論ですが、TBIというと、K(知識)やS(技術)の偏った指導が多いように見えます。
そこに原因があれば改善されますが、H(習慣)やA(心の姿勢)が原因としてある場合は、間違いなく改善しません。
その他にもK・A・S・Hはこんなものにも活用できます。
いわゆるフレームワークというものを、これまでいくつも試してきましたが、このK・A・S・Hが個人的には抜群の成果を生んでくれていると感じています。
良き振り返りと立案を行い、来年の今頃は心地よい時の流れを感じたいものです。