毒舌芸人と言われる有吉弘行さん。テレビで見ていると、時にこちらが心配になってしまう程、
芸人仲間にひどいあだ名をつけたり、人間性を否定するような言葉を浴びせている場面をよく目にします。
そんな彼ではありますが、ご存知の通り冠番組を多く持ち、
毎年「理想の上司ランキング」のトップ20 に入るなど、嫌われるどころかその人気は長年高いままです。
毒舌なのに嫌われない。その秘訣について、彼はこう答えています。
「悪口は直接 褒めるのは間接的に」
ここに人間関係を築く大きなヒントがあります。普段、本人の目の前ではいい事ばかりを言うけれど、
実は裏ではその人の悪口ばかりを言っている。きっとそんな人とは良い人間関係は築けません。
一方、目の前では滅多に褒めたりはしないけれど、
実は本人のいない場所で「あいつはほんとに頑張っている。とっても期待しているし信頼している」と言っていると、
間接的に本人の耳に入ったときには、とても嬉しく感じるものです。
そう言われると、その通りと感じられる人も多いと思いますが、
その逆の場面を目にすることが意外にも多くあります。
褒める、悪口だけでなく、業務上のミスについても、そのミスを直接指摘せず、
裏で「またこんなミスしてたよ。ほんといい加減にして欲しいよね」と他のスタッフに話している場面や、
患者さんに対しても「○○さんって、ほんと痛い時だけ来るよね。しかも今日どうしても診て欲しいって、信じらんないわ~!」
とこれも聞こえない所で言っていたりします。
そんな気持ちが全く分からない訳ではありませんが、
単に裏で陰口を言っているだけでは発展性がないのも事実です。
業務のミスをしたスタッフがいれば、そのミスをちゃんと指摘してあげ、
その上で再発防止のための方法を共に考えてあげることで、
ミスは減り、お互いの信頼関係も強固なものになっていくはずです。
痛い時だけやってくる患者さんについても、「できれば事前にお電話を・・・」と遠慮がちに言う人はいても、
「このままではお口の健康は守れません。歯をどんどん失っていく人生で本当に良いですか?」
と時には厳しい事を言える人というのは意外に少ないと感じます。
私は仕事柄、時に厳しいことを言わなければならない場面がよくあります。
その相手は私の雇い主である院長であることが実は多いです。
実際、イラッとされる院長もいらっしゃると思いますが、
同時に誰も言ってくれないような耳の痛い指摘が出来る間柄だからこそ、
長きに渡ってお付き合いを続けて下さっているのだと思っています。
それは正論。だけど・・・という声が聞こえてきそうですが、
それが信頼の基礎の本質なのです。
歯科はチーム医療です。お互いの信頼関係が表面的ではなく、
本当の意味で構築できる対話こそ欠かせないものなのです。