先日、久しぶりに東京に行くことがありました。
さすが首都東京!という事もあり、有名写真家の展示会がいくつかの美術館で開催されていました。
スマフォの地図アプリと時刻表を駆使し、はしご鑑賞をしましたが最高でした。
何年か前までの美術館は基本的に写真撮影はNGでしたが、最近はOKなことが多いです。
いくつか理由はあると思いますが、SNSで紹介してもらうことが結果的に動員数の向上に繋がるんでしょうね。
時代はクローズからオープンに変わってきているのは間違いありません。
そんな波に乗って?私もパシャパシャとスマフォカメラで撮りまくりです。
気に入った展示品はほぼカメラロールに収めましたが、展示会の図録(パンフレットのようなもの)も迷わず購入しました。
写真に撮っているのにです。
さて、ここからが本題です。
私たちは「何に」お金を支払うのでしょうか。
展示品は写真に撮れるし、撮れなかったとしてもネットで探せば大概の画像は見つかります。
つまり、展示品を写した写真という“情報”自体には価値はありません。私が価値を感じたのは「意味」です。
「展示会に行った」という記念としての意味もありますし、図録の売上がそのアーティストの今後の活動費にもなるかもしれない、という支援的な意味もあります。
そんなふうに「意味」が価値になると、予算も変わってきます。
上記のように現代は情報には価値はありませんので、お金を支払うにしても「出来るだけ安く」手に入れたいと考えますが、「記念」や「支援」の意味であれば、途端に財布の紐はゆるみ、むしろ高い方が満足度が増したりしますので不思議なものです。
人は「意味」に価値を感じお金を払う。
これは歯科診療、特に自費診療においても同じことが言えます。
例えば「歯並びを治したい」と考えている患者さんの「意味」を考えてみましょう。
もちろんキレイな歯並びを手に入れたいという意味はあるでしょう。
ただ、これは矯正治療における大前提であり、標準機能です。標準であれば出来るだけ安く済ませたいと考えるのは自然な事で、少しでも安い医院を探すという行動に繋がります。
一生懸命説明はしているけれど、選ばれない事が多いとすれば「機能」だけを説明しているからかもしれません。
大切なのは、キレイな歯並びを手に入れることで得られる、その患者さんにおける「意味」です。
歯並びを良くすることで人前で自信を持って笑うことが出来るようになりたい、という意味かもしれませんし、幼い頃からずっと抱えていたコンプレックスを解消したいという意味かもしれません。将来モデルになりたいという夢を叶えるためという意味を持たれている人もいるかもしれませんね。
これらの「意味」は意外に潜在的なもので、きっかけがなければ意識しない事でもあります。
カウンセリングや説明時に「その患者さんにとっての意味」を見出す問いかけや提案ができれば、選ばれる治療法も自ずと変わってくることでしょう。