「こら直樹!出したら片づけなさい!何度言ったらわかるの?」
幼い頃、お袋に繰り返し繰り返し言われ続けた言葉のひとつです。
幼心ながら「片づけなければならないこと」は頭では分かっているのに出来ない、というかやらない。
むしろ言われれば言われるほど頑なにやらないのが人間のややこしいところでありまして、先に注意などされようものなら
「今、やろうと思っていたのに!もうやる気なくした~!」
というセリフに覚えがある人も少なくないのではないでしょうか?
これを幼稚だの未熟だのと一言で片づけてしまうのは簡単ですが、
そのメカニズムを超分かりやすく解説してくれた良書に出会いました。
「MI~世界の医療界が変わった、MIの“問いかけ話法”~」(発行:オーラルケア)
基本的に患者さんへのカウンセリングについて書かれた本ですが、
スタッフ教育や家族や友人とのコミュニケーションにも役立つ内容となっています。
今回ご紹介したいのは、その中の“アンビバレンス(葛藤)”という状態のことです。
アンビバレンスとは“変わりたいと同時に変わりたくないと思う迷いの状態”のことで、
例えば、タバコを吸う人、お酒を飲みすぎる人、運動をしない人。この人たちはタバコを吸わず、
酒を飲まず、運動を習慣にすることの利点を述べることもできれば、健康のために他にすべきことを挙げることもできます。
それでも実際にはなかなかやめることができない。
タバコを止めたいという気持ちと同時に吸いたいという気持ちがあり、
お酒を止めたいと同時に飲みたいがあり、運動をしたいと同時にしたくないというアンビバレンス(葛藤)な状態です。
このアンビバレンスの状態の大きな特徴が、誰かに片方を指摘されると、
もう片方が自分の中で優位になってしまうことです。
「運動不足だから運動したいんだよね」
「だったらすればいいのでは?」
~アンビバレンス起動!~
「いや、そうしたいのは山々なんだけど、その時間がないんだよ!それにケガしたら仕事にも影響があるしね。」
「そうなんだ・・・。じゃあ無理だね。」
~アンビバレンス起動!~
「いや、とは言え何とか運動したいと思ってるんだよ!ダイエットもしたいしね!」
こんなやり取り、よく見る光景ですよね。冒頭の片づけを「もうやる気なくした~!」もアンビバレンスが起動した状態です。
人が変化をする際にはこのアンビバレンスが起こると言われています。
私たちがコミュニケーションを学んでいく意義の一つはこのアンビバレンスを乗り越えるためです。
では、実際にどのように乗り越えていけば良いのでしょうか?
自宅で過ごすことも多い今。
ぜひ、この本を読んでみてください。