歯科医院運営

いい歯医者さん10ヶ条を作る ①

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      新型コロナウイルスの影響で、クライアント医院でも診療を縮小したり、キャンセルが確実に増えてきています。

      歯科業界に限らず、多くの業種がその状況ではありますが、不安で落ち着かない日々をお過ごしの方も多いのではないでしょうか?

      そんな中でも、逆転の発想で、

      「余裕時間が出来た。来たるアフターコロナに向けて、今まで取り組みたかったけれど、
      時間が作れなくて出来なかった事に時間を使おう」


      と動き出されている医院もあります。



      その時間の使い方は様々ですが、今回は「いい歯医者さん10ヶ条を作る」をご紹介します。



      「どんな歯科医院を作りたいか?」という問いについて、明確に答えられる院長は意外にも少ないです。

      「予防型」とか「自費を中心とした」とか「地域に密着した」とか「アットホームな感じの」など、
      ざっくりとした曖昧な表現が大半です。




      今は特に先行きが読めない状況ですので、逆に10年先や20年先を考えても、
      それはそれでリアリティがありません。




      私の考えを言いますと、

      「10年スパンの方向性はざっくりと示しつつ、1年以内の目標はリアルに描ける」
      状態が現代に合っているように思います。




      実際にこういうタイプの院長が今やるべき事をやり、それでもブレずに進化されていかれているように感じます。



      「夢は持っているけど、一人で浪漫に浸らない」、「現実的だけれど、遊び心も持っている」みたいな人です。

      こういうリーダーって、やっぱり人として魅力があります。魅力がある人に人ってついていくんです。
      なんだかんだ言っても。




      この「いい歯医者さん10ヶ条」は以前、とある介護事業所の方に見せていただいた「いい介護10ヶ条」という、
      その事業所が目指している、利用者さんに提供したい「介護の在り方(スタンス)」を記したものからヒントを得ています。




      文字通り、「いいと思える歯医者さんの条件を10個書き出してみる」のですが、
      ここでの基準はあくまでも“主観100%”でOKです。




      「自分だったらどんな歯医者さんにかかりたいか?」をあまり深く考えずにどんどん記してみるのです。

      「あまり深く考えず」がポイントです。

      「こうでなければならない」とか、「向こう何十年も続く理念を作ろう」とか考えすぎると筆が進みません。



      もっと言えば、人の価値観なんて、時間の経過と共に変わります。



      以前は邦楽なんてダサいぜ!男は黙って洋楽だ。俺は一生洋楽ロックしか聞かないぜ!と言っていた人が、
      今は嵐の曲をカラオケで熱唱しながら、「嵐っていいよね」って言っているものなのです。


      だから、あまり今の価値観に執着しすぎるのはよくありません。



      執着すればするほど、それを大事と捉えてしまい、変化をすることを良しとしない自分になってしまう。
      そしてそれを否定されると信念対立が起きてしまう。


      変化を柔軟に受け入れるためには、考えも“遊び”が必要なのです。



      ということで、まずは私がざっくりと考えた「いい歯医者さん10ヶ条」をご紹介します。



      その① この歯科医院でなければ受けられない医療やサービスがある。

      数多くある歯科医院の中で、「この歯科医院でしか受けられないもの」があると、
      どんなに遠くても通おうという気持ちになる。またそれは医療機関である以上、1に臨床、2にサービスである事が必須条件。




      その② 「何の目的で、どのような方法で」 適切な説明がある。

      自分の体に何が行われているか?は誰もが気になるところ。長過ぎず適切な説明は大きな安心材料。
      また、分からなければ何度でも同じ質問ができる雰囲気があればありがたい。




      その③ 各種カウンセリングを行っている。

      初診カウンセリングで安心感。結果(提案)カウンセリングや補綴カウンセリングで納得感。
      決断への道筋は各種カウンセリングの積み重ね。




      その④ 「歯ブラシ」「生活習慣(食習慣)」「その他リスクファクター」の視点から、予防プログラムを立案・提案してくれる。

      ただし、一般論では心は動かない。上記の項目をカウンセリングなどで把握し、
      その“患者さんの立場”での提案を行ってくれると嬉しい。




      その⑤ 毎回、ちょっと頑張れば出来そうな「宿題」があり、その結果を評価・共有してくれる。

      プロケア頼みでは患者さんの本当の健康観は育たない。
      健康づくりに患者さん自身も積極的に関わってもらえるような仕組みと工夫があり、
      時には共に宿題を解いてくれると嬉しい。




      その⑥ 各部門においてプロフェッショナル(担当者)がいる。

      歯科医師、歯科衛生士、歯科助手、受付。
      それぞれの職制の役割(守備範囲)を患者さんが理解できるように明確に表現されている。
      また、最初は「医院に診てもらう」という入口だが、通院の長さに比例して
      「●●先生や○○さんに診てもらっている」という感覚になってくるもの。個人の繋がりを大切に。




      その⑦ メインテナンスメニューに自分の希望も取り入れてくれる。

      バイオフィルムや歯石の除去というプロ視点での内容に加え、ブラッシングや染出し、
      着色除去や歯肉マッサージなど、患者さんの希望も取り入れると「また来よう」というモチベーションになる。




      その⑧ 短期・長期それぞれの視点での目標を決めるアドバイスをしてくれる。

      患者さんの口腔内状況や価値観に合わせ、1年以内の短期目標から、
      5年、10年単位の長期目標までを共有してくれていると、もう他にはいけない。




      その⑨ 歯や健康について学べる場がある。

      院内での掲示や配布物、ホームページやブログでの情報発信、
      患者さん向けセミナーの開催など、学べる場が多くあり、患者教育に熱心な歯科医院は信頼できる。




      その⑩ 時に厳しく、時に優しく。

      目標が共有できていれば、それに反した行動には厳しく接することもできる。
      ただ、時には「とは言っても仕方ないですよね~」という逃げ道もあると、落ち込まなくて済むのでありがたい。




      いかがでしょうか?

      ざっくりと言いながら、意外にレベルの高い骨太な10ヶ条ではないでしょうか?



      そうなんです。

      ざっくり書こうと思っていても、真面目に書こうと思っていても、
      出てくるものは自分が今大切だと思っている価値観です。出てくるものに大差がないのであれば楽に書いたほうがいいですね。




      まずは院長自身が書いてみてください。



      10ヶ条ですから10個までです。

      10個以上書けた場合は10個に絞りましょう。欲張ればぼやけてしまいます。

      10個も書けなかった人はきっとまだ真面目です。

      すごい10ヶ条を書いてやろうというプライドがアイデアの瓶に蓋をしています。

      繰り返しますが、どれだけ真面目に考えても出てくるものは、今、あなたの頭の中にあるものです。あとで見て気に入らなければその都度書き直せばいいのです。今は適当でもいいのでとりあえず10箇条をかいてみましょう。



      〜その②に続く〜


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