昨年の話です。
早めにベッドに入り、長時間寝たはずなのに日中に眠気が襲ってくる。
もうすぐ朝刊が配達されそうな時間に眠りについたのに頭はスッキリしている。
なんとなく眠りの質が良くないな・・・と自覚はしていた時、スタッフより、
「いきなり落ちるように寝て、いびきかいてますよ・・・」
という一言で、病院に行くことに。
睡眠時無呼吸症候群の治療で有名であろう医院に目星をつけ、電話で予約。
ホームページは非常にシンプルで、院長の経歴と予約制であることなどの案内や診療時間といったインフォメーション的な内容のみ。
問診票がダウンロードできるようになっており、記入したものを準備して当日を迎えました。
受付で名前を名乗り、保険証と問診票を提出すると、
「これもご記入いただけますか?」
と、更に詳しい問診票を渡されました。
パラパラとめくると、4枚あります。
(長いな・・・)
とちょっとだけ思いましたが、書かない訳にはいきません。
待合室のイスに戻り、書き始めますが、意外に骨太な問診票・・・。
よくある問診票のように、サッサッサッとは書けません。
睡眠に関係しそうなことを根掘り葉掘り質問されます。
そこで最初の気づき。
「問診票で専門性を感じてもらうべし」
例えば、"予防”に力を入れているのに、問診票の項目にはその予防を意識してもらえる項目がない。
「歯が痛い」「歯ぐきが痛い」「歯が欠けた」「歯ぐきから血がでる」
といったように、"病気が前提”の項目ばかりというのも珍しくありません。
問診票も医院の考えや専門性を伝えるひとつのツールとして考えれば、とてももったいない事です。
「メインテナンスを受けたい」「むし歯や歯周病を予防したい」「歯を美しく白くしたい」
といった、項目があった方が良いはずです。
話、戻ります。
骨太の問診票を10分かけて記入し、受付に提出。
すると今度は、
「お待ちの間にこの本を読んでおいていただけますか?」
と1冊の本を手渡されました。
タイトルは
「スタンフォード式 最高の睡眠」(マンガ版)
です。
え〜、いやです!
と言えるはずも、言うはずもなく、素直に受け取りイスに腰掛けて読み始めます。
この本、マンガ版というくらいですから、字だらけの本家本元もあるはずですが、マンガ版なのでとても読みやすい。
ざっくりと内容を言いますと、睡眠障害を抱えた主人公が仕事も私生活もそれが原因で上手くいかず、睡眠を変えていくことで人生が好転していくという物語です。
ここで次の気づき。
「待ってる間に予習しといてもらうべし」
睡眠関係の病院に睡眠に関する本が置いてあるのは珍しくありません。
歯科の待合室に歯に関する本が並べられているのと同じです。
でも、それをどれだけの人が読むか?というと、実際はかなり少ないと思います。
いい内容だから読んで欲しい、という目的で置いているのに読んでもらえない。それでは目的を達成できません。
今回のこの睡眠の本も、待合室の本棚に並べられていた状態だと、きっと私は手に取らず、スマフォで時間つぶしをしていたでしょう。
しかし、 "受付で直接手渡し”されると、読まない訳にはいかないんですね。
抵抗感を感じることなく、読んでしまいました。時間にして30分ほど。
見方を変えれば、30分待っている訳ですが、そこに
「いつまで待たせるんだよ?予約制でしょ?」
という感覚はありません。
同じ30分待つでも、その過ごし方を工夫すれば、患者が感じる時間感覚は全く違うものになります。
やべえ!この医院ヒント一杯だわ!
とメモを取り始めた私でした。
治療に来たつもりが、医院見学の視点にすっかり変わってます。
そうこうしていると、看護師さんに「かわべさん、こちらでどうぞ」と呼ばれました。
おお・・・次のヒントの予感。
〜その②につづく〜