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あたりまえちがい

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      先日、スタッフの皆さんとの談笑の中で

      “患者あるある”

      の話題で盛り上がることがありました。



      その“あるある”の中で挙がったことの一つが「歯みがきをしてこない患者さんがいる」というもの。

      私は患者としてメインテナンスを受けに行く時は、いつも以上に歯みがきを丁寧にしていくタイプです。
      普段、あまり使わない歯間ブラシまで駆使し、いつもやれよ・・・!と、自分のだらしなさを感じながらせっせと磨いていくのですが、



      「河辺さんよく磨けていますね~」と褒められたい気持ちもあれば、それがマナーとして“あたりまえ”だと考えているからです。



      「それは困るね~」という話をしながら、ふと以前勤めていた会社の先輩のことを思い出しました。

      その先輩と昼食を一緒にとった後、先輩は「これから歯医者にクリーニングに行く」とのこと。


      食べた後でしたので、


      「じゃあ歯みがきしていかないといけませんね」と、

      それがさも“あたりまえ”のことのように話した私に対して先輩は、



      「え???なんで??これからキレイにしてもらいに行くのに歯を磨いていかにゃいけんのん?」


      と、これまた“あたりまえ”のように歯を磨かない理屈を話されたのです。




      先輩にとっては、



      自分は歯のプロではない→だから定期的にクリーニングに通っている→だからその当日に自分で磨いていく必要はない。


      という理屈があるんですね。




      メインテナンスやセルフケアの概念が理解できていないという背景はここでは置いといて、着目していただきたいのは、このような“あたりまえちがい”が意外に多くあるのではないだろうか?ということです。



      (歯科の常識)一回の治療時間は30分
      (患者の常識)一回の時間は長くてもいいから早く終わるようにして欲しい。


      (歯科の常識)突発的なこともある医療機関ではある程度の待ち時間はあたりまえ
      (患者の常識) 予約したのになぜ待たされるの?


      (歯科の常識)歯ブラシは1ヶ月に一度は交換する
      (患者の常識)使えるまで使う
      (知り合いに同じ歯ブラシを2年使っている人がいました)




      このように、皆さんにとっての“あたりまえ”は患者さんにとっては全然あたりまえではないことも多く、患者さん独自のあたりまえを持っていると考えておく必要があります。



      なぜならば、人は自分の“あたりまえ基準”と違う人に対してはネガティブな感情を持つことが多いからです。

      「わ、この人、歯磨きしてきてない!最悪!」

      「10分待たせたくらいで、なんでそんなに不機嫌になるの?わがままな人だな・・・。」

      「2年も同じ歯ブラシを?気持ち悪くないの?」

      このように、そのネガティブな感情は、表情や態度となって表れてしまうものです。



      自分の常識は他人の非常識と言います。患者さんに新しい“あたりまえ”を得て頂きたいとするならば、まずは相手の“あたりまえ”を知る意識が大切です。そしてそれは口腔内を診ただけでは分かりません。だからこそカウンセリングやコミュニケーションが必須なのです。


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