私が言うまでもありませんが、現在の歯科医院は、口腔疾患の治療はもちろんのこと、
疾患そのものの予防として、患者さんの生活習慣にまで踏み込んだ診療や指導、
アドバイスを行う医院が多くなってきました。
私どものクライアント医院でも例外ではなく、各医院で様々な取り組みを行われています。
唾液検査や生活習慣のヒアリングを通して患者さん個々のリスクを明確にし、
より具体的なアドバイスを行われている医院もあれば、待合室のモニターやニュースレターなどで健康情報を積極的に発信されたり、
子どもたちを対象にしたキッズイベントで歯みがきのスキルアップや、むし歯になりやすい食事、
なりにくい食事をクイズ形式で取り上げ、子供たちが楽しみながら知識が向上する工夫をされている医院もあります。
また、治療で歯は治り、何でも食べられるようになったが、
食習慣が乱れ結果として糖尿病につながってしまった・・・ということにならないよう、
管理栄養士を雇用し、食や栄養へのアドバイスに取り組んでいる医院もあります。
これらの取り組みは、ほんの数年前では珍しいものでしたが、
今やスタンダードになっているものもあり、その変化のスピードに驚くばかりです。
この調子で進むと、5年後の歯科業界(もっと言えば世の中)はどうなっているのだろう?と、
楽しみでもあり不安でもありますね。
さて、ここまでお読みいただいてお感じの方もいると思いますが、
年々確実に歯科が扱うテーマに変化が起こっています。
それは「病気」から「健康」への変化です。
人生100年時代というフレーズを頻繁に耳にするようになりましたが、
そこで大切なのは、100歳まで生きることではなく「100歳まで何をして生きるか?」です。
最後まで今の仕事を現役でやり続けたいという人もいるでしょうし、
仕事は引退し、旅行やガーデニング、ダンスやカメラなど、大好きな趣味に時間を使いたい人もいるでしょう。
やりたいことは人それぞれ違いますが、共通していることは「何をやるにも健康が土台である」という点です。
そんな背景から、歯科ができる患者さんへの健康サポートの幅はこれから益々広がっていくことは間違いありませんが、
そこに向けてとっても大切なことがあります。
以前、管理栄養士さんの講演DVD を観たときのことです。その中で講師の
「栄養指導等が根付く医院の共通点は、診療の中で健康に関する言葉が飛び交っていること」
という言葉がとても印象的でした。
日頃、各医院の診療場面を見学させて頂く中で、先述のような取り組みも行なってはおられますが、
患者さんとの会話の内容は?というと、その大半は病気に関する言葉の方が多いように思います。
もちろん、医療機関として病気に対する説明や提案も大切な役割ですが、
同時に「簡単にできる運動」「野菜摂取を増やす方法」「外食時のメニュー選びのコツ」など、
健康に関する言葉が診療室に飛び交えば飛び交うほど、患者さん自身も更に歯科へ通う価値を感じていただけると思います。
日常で使う言葉。そこへの意識をしてみてはいかがでしょうか?