以前、クライアント医院で患者さんを対象にした “院内セミナー” をやろうという企画が持ち上がりました。
この医院では、患者さんを対象にしたイベントは初めての取り組みです。
セミナーまであと数日となった頃、当日の流れをシミュレーションしてみる事に。
作成したスライドを使って本番同様の流れで進めながら、改善点を皆で出し合いました。
「このイスの位置だと患者さんの首が疲れてしまうのではないか?」
「お渡しするテキストはこの内容で分かりやすい?」
「スライドの中のステファンカーブの図は患者さんには理解しにくいのでは?」
「口腔内写真はグロテスクに見えるので、出さない方がいいのでは?」
などなど、沢山の改善案が出てきました。
この検証→改善を繰り返すことで、どんどん良くなっていくのですが、ここで一つ大切な事があります。
それは、
“評価者はセミナーに参加される患者さんである”
という事です。
提供する医院側の自己満足に終わらせない為には、実際のセミナーを受けての感想を評価者である患者さんにお伺いする事が大切です。
その方法として代表的なのは “アンケート” ですが、“紙に書く”というのは意外に億劫であり、辛口なこともなぜか紙面だと書きにくいもの。スペースも限られている事から全ての思いを記してもらうには限界があります。
そこでこの医院では、アンケートに加え、
“患者さんに直接尋ねる” 事にしました。
セミナー終了後に残って頂き、お茶を飲んで頂きながら、
「今日はうちの医院としての初めてのセミナーでした。今後、回を重ねるごとに良いものにしていきたいと考えておりますので、実際にセミナーにご参頂いた皆さんに、遠慮のない感想や改善点を聞かせてもらいたいのです。」とお願いをしました。
そうすると、
「あそこが良く分からなかった」
「あの話はもっと詳しく聞きたかった」
など、医院側だけでは気付けなかった事を沢山お聞かせ頂くことが出来たのです。
そして後日、お聞かせ頂いた声を参考に改善を行い、意見を出して下さった患者さんに
「○○さんのお声を参考にこう改善してみました」ときちんと報告を行いました。
そうすると患者さん自身も自分の意見が取り入れられた事、役に立てた事を喜んで下さいました。
このように、患者さん自身にも医院のイベントや運営に関わって頂く事で、結果として医院の応援者になって頂く事が出来ます。
歯科医院はそこに働く人たちだけのものでなく、患者さんのものでもあります。
共になくてはならない場とするためには、積極的に患者さんを巻き込んでいくことがそこへの近道です。