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主訴の種類

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      医療の世界で働いている人なら、誰もが毎日のように触れている言葉の一つ「主訴」
      辞書で言葉の意味を調べてみると“患者が医者に申し立てる症状のうちの主要なもの”と解説されています。

      “症状”から思い浮かぶのは「奥歯が痛い」とか「かぶせものが外れた」「歯ぐきが腫れた」などですが、
      歯科医院の場合はこのような“症状”が無い人も訪れる、医療機関の中でも特殊な一面を持ち合わせています。

      もうお分かりですよね。
      “症状が無い人”とは、メインテナンス患者さんのことです。

      では、メインテナンス患者さんの「主訴」とは何か?を考えてみると、大きく3つの種類に分けられそうです。

      ①歯石、プラークの除去(口腔内の成果)
      数ヶ月間で付着した歯石、プラークを取り除くこと、自身のホームケアの状態の確認など、口腔内疾患の予防を目的としている方です。

      ②チェアタイム
      時に苦痛が伴う治療と違い、メインテナンスは基本的に気持ち良いものです。
      例えば60分メインテナンスの時間を取っているとすると、「60分間のリラクゼーションタイム」を楽しみに来院されている方です。

      ③お話
      お口の状況にはあまり興味を示されないが、自身の近況を聞いてもらえると大いに喜ばれる。
      受付や歯科衛生士など、医院の皆さんとの会話を楽しみに来院されている方です。

      メインテナンス患者さんの場合、どの「主訴」なのか?をきちんと把握していることが重要です。
      何故ならば、口腔内疾患の最大のリスクとは“来院されなくなる”ことだからです。

      医療者としては“①歯石、プラークの除去”が何よりも重要だと思いますが、それが出来るのは患者さんの来院あってのこと。来られなければ何もできません。
      お話を一番楽しみにされている患者さんであれば、チェアタイムの中に「会話時間」も組み込んだスケジュールを立てる必要があります。

      また、主訴によって同じ行動でも、ある患者さんには喜ばれ、別の患者さんは不満に感じてしまう場合もあります。
      例えば、通常は60分のメインテナンス時間を取っている。しかし、その時は診療が押しており、出来るだけチェアタイムを短くする必要があるとします。

      “②チェアタイム”が主訴の人の場合は、60分間メインテナンスをしてもらう事を楽しみにされていますので時短となると不満です。
      一方、“①歯石、プラークの除去”が主訴の場合は「今日は〇〇さんのお口の中がとてもキレイでしたので、
      いつもより10分も早く終えることが出来ました。ホームケアを頑張っておられる成果ですね」と説明することで、満足される確率は高くなります。

      主訴は何か?この観点を持っている人は例外なく患者さんの継続率は高いでしょう。


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