接客や営業など、人と関わる仕事の経験が長いせいもあり、消費者として接客やサービスを受ける時は、その対応に人一倍敏感になってしまっている自分がいます。
その気になり度は年々上昇しており、それは「気づきセンサーがレベルアップ」しているのか、それとも「何にでもいちゃもんを付けるおじさん」になっているのかは定かではありません・・・。
ただ、仮にいちゃもんおじさんだとしても、
やっぱりそれはいかんだろう・・・と
最近頻繁に感じることがあります。 それは
「察して応対」
が多い・・・ということです。
以前とある洋食店に入ったときのこと。
ちょうどランチタイムだったこともあり満席の様子。店員さんと思われる人に歩み寄り
「3名なんですけど入れますか?」と尋ねると、
明らかに困った顔をして、
「あっ、ただいま満席でしてぇ・・」とのこと。
「そうですか」と私。
しばしの沈黙が流れたあと、
「で、どうすればいいですか?」と尋ねたところ
「入れ替え制となっておりましてぇ・・・」と、
曖昧な言葉。 二度目の沈黙がひゅ~という木枯らしが飛んでいるような雰囲気で過ぎていきました。
時間で言えば数秒ですが、私だけでなく店員さんにとっても、それはそれは長い時間に感じたことでしょう。根負けした私が沈黙を破ります。
「で、どうすればいいのですか?」
これが「察して応対」のよくあるパターンです。
状況や提案を最後まで伝えず、言葉半ばで相手に察してもらうことを暗に求めます。
今回のケースは「今は満席で入ることができない、入れ替え制となっており、次の回も満席なので待ってもらったとしても今日は入れない」
というのが結論でしたが、
「満席でしてぇ・・・」
「入れ替え制でしてぇ・・・」
という中途半端な言葉では“お店に入れるのかどうか”が分かりません。
歯科で「察して応対」になりやすい場面と言えば「予約」に関するやり取りです。
「歯が痛いので診てもらいたいんですけど」
「ご予約はしていらっしゃいますか?」
「いえ、していませんが、ダメですか?」
「当院は予約制になっておりましてぇ・・・」
「はあ、じゃあ今日は診てもらえないんでしょうか?」
「いえ、そうではありませんが、かなりお待ちいただくように・・・」
「で、結局どうしたらいいの?」
「察して応対」にならないようにするための基本は、まずは言葉の終わりを「マル(句点)」で終えるようにすることです。
そして説明の構成は「申し訳ありません、当院は予約制となっており、本日はご予約の患者さんで一杯の状況です。30分ほどお待ちいただくことが可能であれば本日診察させて頂きますし、後日でもよろしければご予約をお取りします。いかがいたしましょうか?」といったように
「状況+提案」で行うことです。
(青字が状況で赤字が提案)
相手に「察してもらう」ことに期待するよりも、こちらが「察して先回り」する。患者さんだけに限らず、全ての人間関係に通じることですね。