健康なお口とは

2020.03.30

数年前から「写真」を趣味半分、仕事半分でやっています。最初はいいカメラを買えばいい写真が撮れるかな~と安易に考えていましたが、やればやるほどその高い壁に突き返されてしまっています。

壁を超えるために沢山撮ることはもちろん、隙を見つけては本を読んだりセミナーに出かけたりしていますが、以前受講したセミナーの冒頭で講師の方が言われていたことがとても印象的でした。

 

「今日はポートレート撮影を学ぶ講座ですが、最初に皆さんと“定義”を合わしておきたいと思います。今日、私が皆さんに得て欲しいと考えているのは“良い写真が撮れるようになる”という事ですが、この“良い写真の定義”が違うといけません。私が考える良い写真とは○○という意味です。」

 

○○の部分はこのレターの本質とは関係ありませんので割愛(長いので・・・)しますが、この“定義づけ”、言い換えれば“解釈の統一”はとっても大切なことです。

例えば、歯科の世界で頻繁に使われている“健康なお口”という言葉も、発する医療者、受ける患者さん、それぞれの定義が違っていることが多い言葉です。

 

医療者にとっては「むし歯、歯周病がない状態」のことを健康なお口と言うのかもしれませんし、「いやいや、それだけではダメ。噛み合わせまできちんと整えられていて初めて健康なお口と言うのです」という方もいらっしゃると思います。更に「口腔内の問題ばかりに目を向けると患者さんに苦痛を強いてしまうことになることもある。日常生活の中でお口の問題が気にならない状態が健康と言えるのでは」と言われていた先生も実際にいらっしゃいます。

 

この“健康なお口の定義”の違いにより、きっと同じ患者さんでも、受診する医院によって提案される治療内容は違ってくるはずです。

 

この“定義”が医療者、患者さんで食い違っていると、後々トラブルとなる可能性があります。

そのすり合わせとしての時間が“初診カウンセリング”です。私は初診カウンセリングのことを“お見合い”と表現していますが、医院が診たいと思える患者さんかどうか?患者さんが診て欲しいと思える医院かどうか?をお互いに判断する時間だと定義づけしています。

 

その為には当院が考える“健康なお口とは何か?”“どんな患者さんならば満足いただけるか?”といった定義、スタンスを出来るだけ明確に示す必要があります。

 

そういった意味では、「全ての患者さんにご満足いただける診療を提供します」というのはかなり無理があります。

 

ファミリーレストランと高級料亭、どちらが良いということではなく、それぞれのお客さんが求めるものが違うということです。

 

「うちの患者はデンタルIQ が低い」

「最近、クレーマーのような患者が増えた」

「無断キャンセルや中断が多い」

という医院は、実はその“定義”が患者さんと共有できていないのかもしれませんね。