見てないようで見てる

2020.03.28

たまに無性に食べたくなるものってありませんか?

そう思い立つと、食べずにはいられない。私にはそんなお気に入りがいくつもありますが、その中の一つが “長崎ちゃんぽん” です。 

 

先日も午前中から

「今日は長崎ちゃんぽんを食べるぞ!」

と固く決心していた私は、午前の仕事をテキパキと終わらせ、徒歩3分の場所にある“長崎ちゃんぽん”へと意気揚々として向かいました。 

 

ちょうどお昼時であり、既に何名かの行列が出来ています。

ひとり、またひとりとオーダーを済ませ、私の順番まであと数名!という所で事件は起こりました。 

 

年の頃は60~70代くらいの男性(以下、おじちゃん)が、堂々と私の前に割り込んできたのです。

 

 一瞬イラッとしましたが・・・“器の大きな男になる”を人生の目標にしている私です。

「この人もきっと長崎ちゃんぽんの大ファンなんだ。きっと早く食べたくて周りが見えていないんだな。人をそうさせてしまう長崎ちゃんぽんってやっぱり凄いな!」

と捉え、微笑みながら順番をゆずることにしました。 

 

そんな私の優しさなどには全く気付く素振りもないおじちゃんは、店員の方に向かって、

 

「ちゃんぽん!」

 

とやや強い口調で注文。

 

店員さんが「今は代金は変わらず、麺を大盛りにすることができますが・・・」とサービスの案内をしましたが、その言葉をさえぎるように「いらん!」と一蹴。

おじちゃんの迫力にすっかり押されてしまった店員さんは「650円です」と早くこのやり取りを終えたいかのように、代金を伝えました。

 

おじちゃんは無言で財布から小銭を出しました。

そして、そのお金をお盆に “投げて” 入れました。

 

いかがでしょうか?なんて常識のない人なんだ・・・と感じられた方も多いのではないでしょうか。 

 

このおじちゃん。実は身なりは割ときちんとされた格好をされていました。

年齢から見ても、どこかの企業で部下を抱える立場であるようにも見えます。 

 

これはあくまでも私の勝手な想像ですが、会社では、強いリーダーシップを取り、指示も的確で数字にも強い。まさに理想的なリーダーで、このおじちゃんのようになりたい!と思っている部下も多くいるかもしれません。 

 

そんなふうに憧れている部下が、もし、この長崎ちゃんぽんでのやり取りを見ていたとしたら、その部下はどう思うでしょうか? 

 

私ならば、心底がっかりしてしまい、その後、それまでと同じ指示や指導を受けても、心の中で「おまえが言うな!」と感じるかもしれません。

 

人に影響力を持つ人というのは、行動や言動、所作に裏表がありません。

 

きっと、長崎ちゃんぽんを食べる時ですら、周りから尊敬される食べ方をするんだろうな・・・と感じた私は、長崎ちゃんぽんと餃子をビシッ!と背筋を伸ばした美しい姿勢でいただいたのでした。