強面の強み

2018.12.03

今から15年ほど前の話。
当時、営業の仕事をしていた私と同じ営業所に、とってもとっても強面(悪人顔)の先輩がいました。
そこにいるだけで充分すぎるほどの威圧感と恐怖心を周りに与えてしまうほどの風貌は、第一印象が大切な営業マンにはお世辞にも(?)向いているとは言えませんでした。

それなのに・・・それなのに・・・。
その先輩の営業成績は常にトップクラス。

「契約しないと帰らんぞ!と脅していません?」と、
半分冗談、半分本気で聞いたことも。
そんなユーモアが通じるほど、見た目とは逆にとても面倒見の良い、心優しい先輩でした。

先輩はいつも自分自身のことをこう表現していました。

「わしは顔が怖い。だから第一印象はむちゃくちゃ悪い。でもそれは強味でもあるんじゃ。こんな顔のヤツがちゃんと挨拶するだけで好印象になる。怖い人が優しいとむちゃくちゃええ人に感じるじゃろ? 誠実に仕事をしていれば、顧客が出来、大切な人を紹介してくださる。今では顔は怖いが信頼できる人じゃけ、と紹介時のネタにもされるようになったけえのぉ(コテコテの広島弁)」


人に与える印象は悪いよりも良いほうがいい、それは間違いないこと。

一方で良くみせたい感情が強いと、つい背伸びをして自分を大きく見せようとするのもまた人間。

 

例えばホームページやブログ、企業(医院)案内などの自己表現ツールに、実際には出来ていないことを「やっています」と言ってしまう。
そして、実際に訪れた患者さんや新しく入ってきたスタッフから

「言っていることとやっていることが違う」

とマイナス評価をされてしまうことは珍しくありません。

 

歯科は長年に渡って患者さんとの信頼関係を維持していくことで安定的に運営していくことができる業種。
できていないことをできると言ってしまうリスクは高く、仮にそれで患者さんやスタッフを一時的に得ることができたとしても継続来院、長期雇用とはなりません。

期待が大きすぎると、それが叶えられなかったときの反動はもっと大きなものとなります。
それは私たち自身が消費者の立場であるときにもよく感じることです。

 

必要以上に謙虚になることはないが、事実と目標をきっちりと分ける必要はあります。

“できる”

“できるようになりたい”

言葉は似ているが意味はまったく違う。

事実は事実、目標は目標として誤解を与えない表現をすることを心がけておかなければなりませんね。

「今はここができていません。だからこう努力しています。」

と正直に表現されているほうが、結果として長きに渡って信頼を得られます。

情報化社会と言われて随分経つが、情報化社会とは“みんなつながっている”という意味でもあります。
ウソはすぐにばれ、言葉の表現だけでごまかせる時代はとっくに終わった。

こういう私どもも、気付かないうちにウソつきになっている、しまう危険性が常にあります。
耳の痛い指摘は苦手だが、それをしてくれる本当の意味での友を持つこと。
そんな存在が欲しくもあり、そんな存在でいたいとも思う。