主役は遅れてやってくる

2018.07.03

4月から通信教育で大学での学びを始めています。
「写真」を一から本格的に学ぶため。

通信教育なので、基本、カリキュラムにそって課題をこなし郵送→添削→合格すれば単位取得という流れ。

そして年間に延べ2~3週間ほどのスクーリングがあります。
この6月はスクーリングの月で、5週のうち4週の土日を京都、東京のキャンパスで過ごしました。
平日は仕事に全力投球、土曜日の朝は5時半に起きて6時過ぎの新幹線に乗るという1ヶ月。
朝6時には広島にいた人間が、8時過ぎには京都にいる。

改めてすごいと感じる。
JRの皆さんありがとうございます。

これだけ毎週、京都やら東京に出かけていると、感じる距離感が近くなるものです。
金銭的な事情は置いて考えると、「通えるんじゃね?」とまで思ってしまう自分が怖い。

芸術大学という名の通り、キャンパスには芸術家的な雰囲気の人で溢れている。
うん、間違いなく場違いだ。

小学校のとき、あまりにも絵が下手すぎて、

「河辺くんは・・・う~ん・・・個性的な絵が上手ね」

と少年の心を傷つけまいと、なんとかコメントを絞り出した担任の先生の顔が浮かぶ。
このキャンパスにいる事実を知ったら腰を抜かすに違いない。

スクーリングは午前9時30分から午後6時前までの授業で、半分はカメラを使った実習です。
毎回、与えられたテーマやルールに添いつつ、自分らしさを出すことも忘れずに。
生徒の数だけ「らしさ」があり、自分の発想では到底思いつかない表現をする人も多い。

「この人、天才だわ・・・今のうちにサインもらっとこ」と感じる人もたくさんいます。

これがスクーリングでしか得られないメリットの一つ。
セミナーや講演会などもそうで、内容半分、出会い半分ですね。
そういった場で出会った人が、仕事や人生でのキーマンになっていることが少なくありません。

 

いわゆる一眼レフカメラを触りはじめて10年以上が経ちますが、このスクーリングで初めて知った機能や、間違った思い込みに気づかされる場面が何度もありました。

例えば、写真の露出を決める要素に

絞り、シャッタースピード、感度

の3つがある。

背景はボケたほうがかっこいいから開放が良いし、感度は低いほうが画質はなめらかになる。シャッタスピードも出来るだけ早い方がブレは少ない。
これがこれまでの僕の基準だった。
これはこれで間違ってはいないかもしれないが、正解でもない。

写真に人生を捧げてきたオーラが全身から滲み出ている講師が開放オタクの僕にこう問う。

「あなたが写真で表現したい世界観やメッセージはなんですか?」

「・・・・・。」

2018年 上半期のベストクエスチョン。

 

すぐに言葉は出てこなかったが、

「背景がボケていてブレていないことです」

と言ってはいけないということは、本能で分かった。

 

良い写真には世界観やメッセージがあると言われます。
著名な写真家の作品を沢山見せていただいたが、今の僕のレベルではまだまだ写真の見方が分からない。

世界観やメッセージよりも、

この写真は何ミリのレンズなんだろう、絞りはなにかな、ライティングはどうしてる?
という設定や技術の方に先に意識がいってしまう。

そんな僕でも、その写真が撮られた背景や写真家の意図の解説を聞くと、全然違った写真に見えてくるから不思議です。
1分前まで何とも思わなかった写真に感動し、圧倒されることもしばしば・・・。

「世界観やメッセージが先で技術が後」

この1ヶ月のスクーリングでの学びを一言で表すとこれ。

 

例えば「希望」を表現したいとしたとき、

それが表現できる構図とは?
それが表現できる光とは?
それが表現できる絞りは?
それが表現できるシャッタスピードは?
それが表現できるホワイトバランスは?

といった自分が意図するイメージをカメラという機械を使って切り取る技術が必要となってくる。

「世界観やメッセージが先で技術が後」

この逆は基本ない。
ないのだが、そんなに都合よく世界観やイメージが降ってこないことも多い。

 

実習の時間は決まっている。

「イメージが天から降りてくるまで待たれよ」

と言えるはずもない1年生。

 

そんなときは、とりあえずカメラの機能に頼ってみることにした。
ホワイトバランスを変えると、実像で見る世界とファインダーを通して見る世界の「色」が変わる。

色が変わると感じ方が変わる。
美しいと感じることもあれば、気持ち悪いと感じることもある。

なぜ美しい?
なぜ気持ち悪い?

そこを自分に問うていくと、世界観やメッセージが「待たせてゴメン!」と遅れてやってくることがある。

やっと出会えた世界観と向き合い、改めて表現方法を考えていく。
今の僕にはこのやり方のほうが合っていそうだ。

これは仕事の世界でも同じ。
ビジョンや目標が先で、それがあってこそのやり方である。
分かってはいるが、出てこないときは出てこない。

そんなときは身近なテーマで問うてみます。

今、取り組んでいる業務内容で1つだけレベルアップさせたいとしたらなに?
今、取り組んでいる業務内容で1つだけ手放すとしたらなに?
日頃の感謝の気持ちを一人だけに伝えるとしたら誰に伝える?
明日、どんな一日にしたい?
ハンバーグが一番おいしい店はどこ?その理由は?

問いの内容はなんでもいい。
出てくる答えは全て自分の価値基準のはずだから。

そんな禅問答を心の中で繰り返していると、やっとこさビジョンや目標が現れることがある。

「主役は遅れてやってくる」

というのはこういうことだったのか・・・。なるほど。

何年も前に京セラドームにガンズ・アンド・ローゼズのライブを観に行ったことがあります。確か開演予定時間から2時間待った記憶がある。イライラしたし、終電にも間に合わなくなって、2万人がタクシー争奪戦を繰り広げたけど、やっぱりガンズは遅れてこないとガンズではない。

そういうことか・・・。なるほど。

そんなことを考えながら実習に取り組んでいた。
どんな場面でも人生や仕事のヒントはあるものです。

自分の未熟さを感じるのが学びの場だとすれば、伸びしろを感じるのもまた学びの場。

スクーリング万歳。